ミスは家庭学習ではなく、実戦演習で減らしていく

ミスの多さに悩んでいる親御さんは多い、というより悩んでいない親御さんの方が圧倒的に少ないのではないでしょうか。それくらい大多数の親御さんはお子様のミスの多さに悩みやストレスを感じ、それを改善するために家庭学習においても工夫や努力をされています。

具体的な対処法としては、字を丁寧に書かせる、途中式を省略せずに書かせる、解いた後に見直しをさせるといった方法を実践されている親御さんも多いのではないかと思います。特に、算数の苦手な受験生の場合はそういった方法が改善のきっかけになることが少なくありません。

ただ、難関校受験生の場合は「丁寧に解いて見直しを徹底する」という方法では思うように改善できず、悩んでいる親御さんも多いのではないでしょうか。実際、私の経験上でも、難関校受験生がそういった方法で効果的にミスを減らしたという成功例はあまり見たことがありません。

その理由の一つは、難関校受験生の多くは実力的に解ける問題が多いため、丁寧に解いたり見直しを徹底するための時間的な余裕が少ないということです。例えば「制限時間50分、問題数30問」の模試で、実力的に15問しか解けない受験生の場合は、その15問を丁寧に解いて見直しをする時間的な余裕があります。

 

一方で、27~28問を解ける受験生の場合、1問を平均2分弱で処理する必要があるため、1問1問を丁寧に解いたり見直しを徹底するという方法は現実的ではないのです。難関校入試や学校別模試でも、問題数は少なくなりますが問題の難易度は上がるため、やはり基本的には時間との勝負になります。​

もう一つの理由は、難関校受験生がミスをする原因の多くは、字が汚かったり途中式を省略することではなく、時間配分の失敗と精神的なプレッシャーにあるということです。

私は難関校対策としてテスト形式の演習を行い、各問題の所要時間を記録していますが、ミスの原因の80~85%は時間配分の失敗(易しい問題に十分な時間をかけず、雑に処理してしまうこと)にあると感じています。実際、回数を重ねて時間配分を改善することで、多くの場合はミスが減っていきます。

ただ、そういう生徒さんが学校別模試を受験すると、プレッシャーの影響もあり、普段は実践できていた正しい時間配分ができずにミスを多発してしまうことがあります。これについても、学校別模試を数多く受験していく中でプレッシャーの影響を受けにくくなり、正しい時間配分を実践できるようになる傾向があります。

ミスの原因が時間配分の失敗と精神的なプレッシャーにあるのであれば、実戦演習の中で時間配分を意識的に改善したり、プレッシャーに慣れていくという方法が有効です。実戦演習の例として学校別模試を挙げましたが、例えば他塾の公開テストを受験して、アウェイの環境で同様の経験を重ねていくのもいいと思います。