図形センスは合否の決め手になりにくい

図形関連のセンスを養う目的で、早い段階からパズル的な教材や知育玩具を積極的に活用されている親御さんも多いのではないでしょうか。親御さんから「(お子様が)図形のセンスがないので、応用問題が解けない」といった悩みをお聞きすることもあります。図形は他の分野以上に、センスが影響すると考えている親御さんも多いのではないかと思います。

ただ私の経験上、難関校受験において図形センスが合否に与える影響は限定的です。確かに図形センスがあるに越したことはなく、また図形センスが突出していれば有利にはなりますが、大半は決定的な要因にはならないと感じます。

例えば立体図形の応用問題は、空間把握能力が高ければ解きやすくはなりますが、大半の問題は受験勉強の中で習得する解法やテクニックを駆使すれば対応できます。中には受験勉強の範囲で対応するのが難しい難問もありますが、そのレベルの問題は正答率が低く、正解できなくても基本的には合否に影響しません。

実際、2020年度の開成中学では立体図形の難問が出題されましたが、合格者平均点が85点満点で49.5点(得点率58%)と6割を切っていたことを考えても、その問題の正答率は非常に低かったものと思われます。

その年度の開成中学入試では、私が家庭教師で関わらせていただいた生徒さんも3人が合格しましたが、その問題を完答できていたのは1人だけでした。受験者全体で見ても、その立体図形の問題を解けたかどうかは(大半の受験者が解けず、差がつかないため)合否にあまり影響せず、残りの問題をどれだけ得点できたかということが勝負のポイントだったのではないかと思います。

難関校受験生の場合、図形について目指すべきなのは「大半の応用問題が解ける」という状態になることですが、そのために有効なのは「解法やテクニックといった知識を強化した上で、応用レベルの入試問題を大量に解く」ということです。実際、この方法で図形が得点源になり、最難関校に合格した生徒さんが数多くいます。

一方、図形センスに自信を持っているが故に知識強化に力を入れず、そのまま応用問題演習を続けていた受験生が、知識強化に力を入れた受験生に追い越されるケースも何度か見てきました。

パズル的な教材や知育玩具を純粋に楽しめるのであれば問題ないのですが、将来的に中学受験で優位になることを目的にしているのであれば、アプローチの方法を変えてみるのもいいかもしれません。