「苦手分野の自己申告」は当てにならない
 

受験生の親御さんから「○○の分野が苦手なので克服したい」といった相談を受けることがありますが、そのような自己申告が正しいこともあれば、間違っていることも少なからずあります。

難関校受験生の場合、特に多いのは「場合の数が苦手」という相談です。特に算数の成績が良い受験生ほど、親御さんが「他の分野は何とかなっているけれど、場合の数はなかなか克服できない」と言われる傾向があります。

私は難関校受験生を対象に分野別の応用問題演習(各分野30問前後)を行い、各分野の状況を診断しています。場合の数については、開成合格者12名が過去にこの課題を実施した際の平均正答率は71%で、難関校受験生にとってはこの数値がベンチマークとなっています。

場合の数が苦手だと自己申告されていて、この課題を実施しても正答率50%前後で実際に苦手だと診断できることもありましたが、逆に正答率が85%を超えていて、その結果と状況(場合の数が他の難関校受験生に比べて得意な方だということ)を親御さんに伝えると驚かれることが何度かありました。

場合の数について誤解(本当は苦手ではないにも関わらず、苦手だと親御さんが認識される)が多くなるのは、他の分野に比べて、親御さん自身が理解しやすい分野だということも理由にあると思います。

中学受験の場合の数は、高校数学の確率と近い内容も多く、学生時代に数学が得意だった親御さんにとっては(他の分野に比べて)取り組みやすく見えてしまう傾向があります。そのため、「(他の分野について)これだけ難しい問題が解けるのに、(場合の数の)簡単な問題が解けない」と感じ、場合の数が苦手分野だと認識してしまうこともあるのではないかと思います。

分野に関する自己申告以外でも、例えば親御さんが「インプットは苦手だが、思考系は得意」と言われていて実際は逆だったり、「ミスが多い」と言われていて実際は少ない方だったということもあります。

現状について誤解があると、それを前提とする対策が的外れになってしまう可能性もあります。判断が難しい場合もありますが、指導者に相談したりデータを精査するなど、慎重に対応していくことも必要だと思います。