プレッシャーのかかる場面での「試行回数」を増やす

算数の実力は「解法力」と「得点力」で決まります。
解法力というのは「問題を解く力」のことで、
理解の深さ、思考力、知識の質量、処理能力といった各種能力を、
個別または同時に鍛えることで向上します。
得点力というのは「解法力を得点に結びつける力」のことで、
主に適切な時間配分を習得することで向上します。

一般的には「解法力=算数の実力」と認識されています。
そのため、模試の成績が悪ければ解法力に原因があると判断し、
解法力の改善(苦手分野の補強など)に力を入れる傾向があります。
ただ、難関校受験での合否で判断するなら、
その対処法での成功率は必ずしも高くないというのが実情です。

難関校受験では、確かに解法力不足が原因で勝負できない受験生も
少なくないのですが、それ以上に得点力不足がネックになっている
受験生が大量にいます。
一定レベル以上の解法力はある前提で、最終的には得点力の有無が
勝負のポイントになっています。

得点力の改善については「ミスを防ぐ」という対策が主流ですが、
難関校受験においては、その効果は限定的です。
もちろんミスをしないことは重要ですが、ミス対策として行われて
いる方法の多くは「プレッシャーの軽い場面」が想定されていて、
肝心の勝負所では必ずしも有効でないからです。

勝負所での得点力を向上させる効果的な方法は、
プレッシャーのかかる場面での「試行回数」を増やすことです。
難関校受験においては、学校別模試(開成模試、桜蔭模試など)を
多く受験したり、プレッシャーをかけた状況で実戦演習を多く実施
することが有効です。

プレッシャーのかかる場面での試行回数を増やすと「解ける問題を
落とすことによる、致命的な失敗」を多く経験することになります。
例えば、学校別模試で「解けるはずの問題を数問落としたことで、
偏差値が20下がる」ということも普通にあります。

解ける問題を落とすのは、表面的には「ミス(不注意)」が原因の
ように思えますが、多くの場合は「時間配分の失敗」が根本的な
原因になっています。

プレッシャーのかかる場面で「致命的な失敗」を多く経験して、
その原因を(多くの場合は「時間配分の失敗」として)正しく認識
して修正を繰り返すことで、得点力は高確率で向上します。

今年度受験した家庭教師の生徒さんの内、難関校受験生は男子6名
でしたが、当初は全員が得点力に課題を抱えていました。
しかし学校別模試を多く受験したり、私の授業内でプレッシャーの
強い実戦演習を繰り返すことで、得点力は向上していきました。

実際の入試本番では、全員が灘、開成、聖光学院のいずれかに合格
しましたが、その結果以上に「普通なら精神的に追い込まれる状況」
での勝負強さが印象的でした。

難関校受験において得点力が大きく影響すること、
その得点力を向上させるには試行回数を増やすのが有効であることは、
多くの受験生や親御さんの盲点になっているように感じます。

「問題を解く力はあるはずなのに、結果が出ない」と思われる方は、
今回の話を参考にされてみてはいかがでしょうか。
 

※本記事は、メールマガジン(2020年2月27日配信)の内容を転載したものです。