中学受験の戦略
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普通の模試の優先順位を下げる(補足)
拙著『算数の戦略的学習法・難関中学編(改訂新版)』の中で「普通の模試の優先順位を下げる」
という記事を掲載しています。
難関校受験生は、6年後期からは普通の模試(サピックスの合格力判定サピックスオープン、
四谷大塚の合不合判定テストなど、全受験生対象の模試)の優先順位を下げて、
その分、過去問演習や学校別模試に照準を合わせる方が成功率は上がる、という内容でした。
そのことを話すと「サピックスオープン(合不合判定テスト)の成績が良かった受験生ほど
難関校に合格しているのではないか」と心配される親御様もいます。
例えば、サピックスオープンの資料では各学校の志望者の成績分布が公開されていますが、
難関校の分布状況を見ると、確かにそのような印象を受けるかもしれません。
ただ、注意すべきなのは「サピックスオープンで成績が良ければ、難関校に合格できる」のではなく、
「難関校合格者に、サピックスオープンの成績上位者が(結果的に)多かった」ということです。
親御様の世代の大学受験で言えば「センター試験で成績が良ければ、難関大学に合格できる」のではなく、
「難関大学合格者に、センター試験の成績上位者が(結果的に)多かった」という感じになるでしょうか。
いずれについても傾向は見られますが、因果関係はないというのが実情だと感じます。
過去の難関校合格者についても、6年後期に普通の模試の成績が少し下がっていたケースは意外に多く、
その逆のケース(普通の模試は上がったものの、難関校に合格できなかった)もあります。
怖いのは、普通の模試の成績が下がることで、親御様が不安を感じて色々と迷走してしまい、
志望校対策に特化した学習に集中できなくなることです。
特に学校別模試で一定以上の結果が出ている場合は、普通の模試の成績が多少下がっても気にせず、
優先順位を見失わないことを意識していただくといいかと思います。