「都合のいい情報」を求めない

中学受験に限った話ではありませんが、大半の人は無意識の内に自分にとって「都合のいい情報」を求めてしまう傾向があります。「こうであってほしい」という願望が最初にあり、それを正当化してくれる情報(専門家の話、体験談など)を集めてしまいがちです。

私自身も、特に自分の専門外のことでは、その傾向があります。例えば今後、何らかの重い病気になった場合、できれば苦しい治療は避けたいという思いから、苦しい治療をしなくても回復できるという専門家の話や患者の体験談、また苦しい治療をしても報われなかったという体験談を集めてしまうかもしれません。

都合のいい情報を求めるという行為は、おそらく本能的なもので、意識しなければ自然にそうなってしまう可能性が高いです。逆にそういったリスクを意識して、都合のいい情報に偏らずに情報を集める習慣があれば、何事においても成功率は高くなると感じます。

一方で、都合のいい情報は広まりやすいという現実もあります。例えば先程の治療の例でも、「辛い治療を受けることは避けられず、回復できる保証もない」という本と「辛い治療を受ける必要はない。この方法で苦痛なく必ず回復できる!」という本があれば、後者の本が売れやすいというのが実情です。

中学受験においても同様の傾向はあります。例えば、拙著(算数の戦略的学習法・難関中学編)で「上位層ほど最後に加速する」という話を書いています。入試直前期には成績上位層ほど最後まで伸びる傾向があり、最後の追い込みで大逆転合格を狙うことは現実的ではないという話ですが、こういった「都合の悪い情報」は(一部の人からは評価されますが)やはり受け入れられにくいです。

ただ中学受験で成功している親御さんに限れば、都合の悪い情報を積極的に求める傾向が強いです。私は生徒さんの受験指導において、状況が悪い場合でも正直に伝えることが多いのですが、親御さんがそれを正面から受け入れて建設的な対応をされる場合とそうでない場合では、最終的な受験成功率は明らかに違っています。

都合のいい情報を求めてしまう行為は、自分自身にその傾向があるということを自覚するだけで、かなり防ぐことができます。思い当たる節がある方は、例えばこれまで集めてきた情報についても、そういった視点から改めて接してみてはいかがでしょうか。

※本記事は、メールマガジン(2018年10月24日配信)の内容を転載したものです。