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息子が受験校として上位校を意識し出したのは、四年生の秋頃でした。塾の総合成績は比較的安定していましたが、算数は実力テストの結果にばらつきがあり、上位校を狙うならもう少し算数のレベルアップが必要かなという感じがありました。塾の勉強は繰り返しが多く、息子にあまり合っていないのも気がかりで、多少粗雑でも早く全体を俯瞰する方がモチベーションを高めるのでは、と悩んでいました。そんな時、書店で熊野先生の著書「中学受験を成功させる算数の戦略的学習法」に出会ったのです。主人とも相談し、ぜひ一度お会いしてお話を聞いてみようと言うことになりました。

初めてお会いした熊野先生は、力強い文章からは想像できない優しいイメージ。息子もすぐに打ち解け、色々話しておりました。ちょうど受験シーズンに入ろうとしていたので、家でやるようにと出された課題が“2~3ヶ月位で予習シリーズを終える”というもの。早速カレンダーに予定を書き込み、主人が解説して例題と問題を解く、ということを塾の勉強の合間にやりました。半分も理解していたかどうか分かりませんが、息子は繰り返し勉強以外の“刺激”を喜びました。年末から始めて予定より少し早く2か月弱で何とか終え、新五年生から熊野先生の授業が開始されました。

「先生の授業は毎回新しい発見がある」と息子は楽しみにしておりました。その日の授業の様子が1枚の紙に色分けしてきれいにまとめられ、学習の振り返りに大変役立ちました。授業のプリント類はファイル5冊になり、受験直前まで時々見返していました。授業後のざっくばらんな雑談の中での過去の生徒さんのお勉強の様子なども、大変参考になったと思います。しかも、先生は息子がトイレに立つとストップウオッチを止め、実質時間通りの授業をした上で、相談ごとには気長につきあって下さったものです。その誠実なお人柄にはいつも感謝しておりましたし、息子が落ち着きなく何回もトイレに立つとその分授業が延びてしまうのでヤキモキしたものでした(笑)。

また、先生のお勧めで、「予習シリーズ」に続き「プラスワン問題集」、「ステップアップ問題集」、「応用自在」などとやって行き、5年生の夏休みには「銀本」で易しめの入試問題にも挑戦したりしました。いずれも、新しい問題と出会う楽しみを優先し、できなくても気にしない方針で進みました。こうしたお楽しみの算数の勉強とそれ以外の塾の勉強の時間配分は1:1.5~2くらいだったでしょうか(塾のないウイークデーの勉強時間は2~2.5時間程度)。また、中学への算数の「レベルアップ文章題」。これは、問題をホワイトボードに書いておき、朝食をとりながら頭の中で考え主人と答えを言い合うという感じで、朝の5分を利用しました。「必ず文章題の最後の(○○中)という部分まで書き写して欲しい。」と、息子。出題傾向を比べるのが楽しかったようです。先生のご指導とこうした手荒な(?)先取りで解法の引き出しができたのでしょうか、実力テストも含めて以前より安定した成績がとれるようになってきたのは5年生の11月頃からかな、と思います。

算数の能力のクセは子どもによってさまざまだと思います。同じパターンの問題の繰り返し学習を嫌がる息子には、それを逆手にとるような、新しいものにどんどん触れさせる熊野先生の勉強方法がとても合っていました。ケアレスミスは悩みの種でしたが、先生のご指導もあり、入試直前までに何とかすれば良い、ともかく楽しく進めることが大事、と割り切ることにしました。「ステップアップ問題集」後に始めた「日々の演習」も、1日2~3題ずつ結局入試直前までに約5年分やりましたが、1か月単位でノートに貼った問題をパラパラとめくって品定めするのが好きで、これは問題の難易度を見分ける勘を養う一助にもなったようです。

今の息子は、あの時の勤勉な日々は何処に??という部活三昧の生活ですが、また自分で受験勉強を本格的に始める時には“全体を掴んで演習量をこなす”という熊野先生流の勉強を思い出すのではないかな、と静かに見守っております。今でも、熊野先生との受験勉強が親子の話題にのぼります。温かくご指導をして頂いたことを家族全員感謝しております。

熊野先生、2年間のご指導本当にありがとうございました。

【進学先】筑波大学附属駒場中学

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