「適度な過大評価」が才能を伸ばす

一般的に、中学受験生に対する親御さんの評価は厳しいものです。特に受験に対して熱心な親御さんは、子供に対して求める水準が高く、その傾向が強くなります。

求める水準が低いことで緊張感が生まれず、才能が伸びずに終わる受験生もいます。その意味では、子供に対して厳しい評価をすることは間違いではないと思います。

ただ「厳しく評価すること」と「適切な評価をすること」は違います。評価をすることの目的は、突き詰めれば「才能を伸ばす」ためですが、厳しい評価が才能を伸ばすとは限らない、というのが私の実感です。

例えば模試の結果について、良い要素(応用問題が解けている等)と悪い要素(基本問題でミスしている等)の両方が含まれている場合、子供に対してどのような評価をするのが適切でしょうか。

(1)良い要素のみを伝える
(2)良い要素、悪い要素を同程度に伝える
(3)悪い要素のみを伝える

割合として圧倒的に多いのは(3)の評価をする親御さんでしょう。一方で、才能が伸びる確率が高いのは(2)の評価方法です。

(2)の評価をするのは冷静に判断できる親御さんが多く、結果的に受験での成功率も高くなっています。評価の目的が才能を伸ばすことだとすれば、この中では(2)が最適な評価方法ということになります。

ただ、それ以上に効果的なのは「良い要素を強調しつつ、悪い要素も伝える」という評価方法です。

評価の目的は才能を伸ばすことだと言いましたが、才能が伸びる要因は「報酬」と「洗脳」にあります。

受験生の多くは、自分の努力に対して高い評価をされる(良い要素を伝えられる)ことが報酬になります。簡単に言えば、褒められると嬉しいということです。特にその高い評価が的確なものであるほど、モチベーションが上がり、
さらに努力しやすくなる、という好循環が生まれます。

また高い評価をされることで、自分の才能を信用しやすくなります。自分の才能を信用できると、試験で勝負強くなる傾向があります。逆に、努力をしているのに低い評価をされ続けると自分の才能を信用することが難しくなり、勝負弱くなる傾向があります。前者は良い意味での洗脳、後者は悪い意味での洗脳だと言えます。

一方で、正確な状況を知って課題を改善していかなければ、学力を伸ばすことは難しくなります。モチベーションが下がらないよう注意しつつ、悪い要素も伝えていくことは必要です。

「良い要素を強調しつつ、悪い要素も伝える」という評価方法、つまり「適度な過大評価」をすることで、才能は伸びやすくなります。

子供に対して厳しい評価をして、思うような成果が出ていない場合は、現在の評価方法を少し変えてみてはいかがでしょうか。

※本記事は、メールマガジン(2018年9月12日配信)の内容を転載したものです。